2025.07.31
さいたま新堀ギター音楽院の生徒さんによる心温まるコンサート。
今年も審査員には、ギタリストであり元日本ギター専門学校主任教授の村上幸史先生をお招きし、特別演奏を3曲演奏して頂きました。
1、無伴奏チェロ組曲2番より「メヌエットⅠ,Ⅱ」~J.S.バッハ~佐藤豊彦編
ドイツバロック、最高にして最後の巨匠大バッハ、晩年の傑作。
弦が4本しかないチェロは、弓で弾くので同時に2つ以上の音が出せません。
そんな制約があるので当然、作曲者の頭に響いている音を、すべて楽譜に書くことは出来ませんでした。
6本弦のギターは、それをある程度フォローすることができます。
我が師、佐藤豊彦先生は、ギターの響き易い調に書き換え、バッハが実際に楽譜に書きたかった音を想像し、付け加えてくれました。
自然な響きになったことで、さらに美しい曲に変身しました。
2、アサ・デルタ~B.パウエル
ブラジルを含む中南米がヨーロッパの植民地と化したのは、バッハが活躍した、いわゆる「バロック時代」でした。
ブラジルが、300年近くの長きにわたりポルトガルの支配下から解放されたのは19世紀。そして20世紀半ばに、その後世界を魅了し続けた「ボサノヴァ」がカルロス・ジョビンの手により世界中に発信されます。バーデン・パウエルもその一人。音楽文化は、常に民族間の交流の影響を大きく受けます。事実、ヨーロッパのバロック音楽の隆盛は、植民地であった中南米の音楽との交流が無ければあり得なかったのです。
「アサ・デルタ」とは「三角の翼」。おそらくハンググライダーでしょう。空をゆったりと漂う感じ。
この曲は、バーデン・パウエルが1994年に、ギターソロの為に書いたオリジナル作品です。
3、トロイメライ~R.シューマン~F.ターレガ編
ドイツ・ロマン派のシューマンが残したピアノの小品を、スペインのギタリスト、ターレガが見事なアレンジをしています。
シューマンは優れたピアニストでしたが、私と同じく右指にフォーカル・ジストニアを発症しピアノが弾けなくなります。
しかし、その後作曲に専念したおかげで現代の私たちは、かれの素晴らしい音楽を楽しめるのですから、皮肉なものですね。
特筆すべきは、歌や器楽で美しいメロデイーをたくさん残したことです。
短い曲ですが、誰にでも愛される心優しいメロデイーはシューマンの繊細な心そのもの、なのかもしれません。
ラップ 曲目
0:00:06 無伴奏チェロ組曲2番より「メヌエットⅠ,Ⅱ」~J.S.バッハ~佐藤豊彦編
0:04:41 アサ・デルタ~B.パウエル
0:09:34 トロイメライ~R.シューマン~F.ターレガ編
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